本日更新の新世代ガイドブログでも書きましたが、
約1ヵ月に渡って観察してきた『コブシメの産卵』の全容をこちらでもご紹介したいと思います。
今回の主役コブシメです。
沖縄では【クブシミ】とも呼ばれていて、食用にもなっています。
日本では九州南部から沖縄エリアの各地で見られるイカで、甲羅のような骨を持つ事から「コウイカ」という種に分類されています。
コウイカ類では最大の大きさを誇り、大きいものでは全長で1mを超す個体も!
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ちなみに世界最小といわれるヒメイカも「コウイカ科」です
体長1~2センチのヒメイカから1m近いコブシメまで、幅広いですね。
コブシメは普段は深場に住んでいると言われますが、繁殖の季節(春)になると浅瀬で姿を見る事が多くなります。
春はまさしくコブシメの季節とも言える訳ですね!!
基本体の大きさが違う(オスの方が大きい)ので、オスとメスはすぐに分かるのですが、中にはメスより小さいオスもいます。
胴体部分が縞模様か斑点模様かでオスとメスを見分けますが、体の模様をコロコロ変えるのでパッと見てもすぐに分からない時もあります。
なので、そんな時はココを見ましょう!
それは「エンペラー」とも呼ばれる胴体横のヒレを見れば一発で分かります。
エンペラーの縁に白い線が入ってればオス、入ってなければメスです。分かりやすいですね♪
コブシメは寿命が1年(稀に2年生きるものもいる)と言われているので、春先の産卵が人生の集大成に当たる訳です。
春になると産卵のために浅場に現れると書きましたが、毎年見れるポイントは同じではありません。(もちろん同じポイントで見れる事もありますが)
その年その年で産卵ポイントも微妙に変わるので、それを発見するまではガイドとしても正直ヒヤヒヤもんです(^_^;)
今年も現時点で確認できてるのは1ヵ所のみ。
他ショップの方から「コブシメってどこで見てますか?」と僕に連絡が来るくらい目撃が少ないんですが、
見れてるポイントでは常時5匹前後は姿を確認できてるので、非常に助かっています。
たくさんのコブシメが見れている中で、1番分かりやすいのがボス的存在のオス。(写真右)
一際体も大きく、触腕も長いのが特徴。体の模様や色合いも他のコブシメとは風格が違います。
自分の力を誇示するかのように他のオスを威嚇し、メスのすぐ横にピッタリマークしています。
この写真は通常よりエンペラー部分が白くなっていますが、
これはコブシメ自体が白黒の縞模様を嫌う習性があるらしく、その色を体現しているのだとか。
これによって他のオスが近寄らないように威嚇している訳です。
(天敵であるゼブラウツボの柄を真似してるという説もあります)
余談ですが、この体色変化を応用して作られたのが【液晶画面】です。
イカ・タコの体色変化って本当にすごいんです!
一方メスは毎日見れる訳ではなく、産卵の時だけ姿を見ます。
産卵の時以外は、おそらくかなり離れた所にいるのか、深い所へ移動しているのでしょう。
エリア周辺をかなり泳いで探してみた事がありますが、全く姿を見ませんでした。
コブシメは1回の産卵で100~200個の卵を産み、一生涯の中で1000~1500個の卵を産むと言われています。
つまり、産卵の瞬間に出会えるのは1匹のメスに対して10回くらいという訳です!
なんか急にハードルが上がってきたかも...(^_^;)笑
卵の大きさは約2~3センチ。ピンポン玉と同じか少し小さいくらいでしょうか。
最初はほとんど透明感もなく乳白色。先端が少し尖っているのも特徴的です。
1回卵を産むとその場所を少し離れ、新しい卵を準備して、再び産み付ける。これが1サイクルです。
言葉で書くとあっという間ですが、1サイクル約5~6分くらいかかります。
1サイクル5分として、100個の卵を産むとしたら・・・6時間以上かけて卵を産んでるという事になります!!
そう思うと「産卵の日」にさえ当たれば、1日の内どこかしらで見る事はできるんじゃないでしょうか?
その後約80日で孵化すると言われているので、早ければGW前後から孵化するシーンが見れたりします。
よく「孵化間際の卵にライトの光を当てたら孵化した!」というのがある事から、明るさと孵化の関係性は高いと思われます。
これはコブシメに限った話ではなく、ハゼやスズメダイとかでもよくある話ですが、
強い光を当ててハッチアウトする個体は未成熟な場合もあるので、極力控えたいですね。
普段は警戒心が強いコブシメですが、産卵中はどれだけ近くに寄ってもひたすら産卵し続けます。
なかなか撮れないアングルでの撮影が可能なので、ここぞとばかりにワイドで狙うのもオススメ♪
という事で、僕も「このアングルで撮りたいなぁ!!」という1枚があったので狙ってきました!!
コブシメの真下からのアングルで、太陽を被せた1枚。
ストロボは無しでシルエットにして、エンペラーの部分を強調した1枚にしたかったんですが、
この時はちょうど太陽が影ってしまったので...(^_^;)
弱ーくストロボを炊き、胴体の色を少しだけ出しつつ、でも胴体の色よりエンペラーの透け具合を優先した1枚。
でも本当はもっとエンペラーの色を出したかったんですよね・・・。
一方こちらは、エンペラーの部分の色合いはうまく出たんですが、
間違ってストロボを強く炊いてしまったのと、横向きで撮ってしまったので足がフレームアウトしてしまった失敗作。笑
この2枚の良いとこ取りをした写真が撮りたいんですが・・・それはまた次回の課題という事で。
しかし、このメスも僕が確認しただけで3回産卵に立ち会っています(体の傷で識別できました)が、日に日に動きがゆっくりになっていくのがハッキリと分かりました。
そして最後にコブシメを見に行った時は、ものすごく興味深いシーンを見る事ができたのです。
この日、最初はオスだけで6匹の姿を確認。みんなが程々の距離でウロウロしていて、次の産卵の機会を今か今かと待っているような感じ。
そんな中ボス的存在のオスが「ここはオレの縄張りだ!」と主張するような感じで他のオスに威嚇をしながらウロウロしてたんですが、
近くにメスの姿が見えなかったので「あ~ 今日は産卵しないかなぁ」と思っていたんです。
しかし、突然ボス的存在のオスが今までとは関係のない方向へ猛スピードで泳いで行きます。
さっきまでウロウロしていた縄張り?からも大きく外れる方向へ泳いでいたので「何だろう?」と思い、見失わない距離を保ちつつ観察していたら、
先日まで産卵していたメスが、めちゃめちゃ遠くのサンゴも何もない所で1匹ゆっくりとしていたのです。
距離で言うとオスが縄張り?としていたエリアから100m以上は離れていました。
オスはこのメスの姿を確認したらすぐに元のエリアへ戻っていったのですが、メスは変わらず動きがゆっくり。
瞬時に「もう産卵できるほどの体力は残ってないのかな!?」と考察。いわゆる瀕死の状態に見えた訳です。
近寄っても全く逃げる様子もなく、警戒する様子もありません。
あまりに逃げないので、自撮りなんかもできちゃう始末。
それでも全く逃げる様子はありません。
10分、、20分と様子を見ても一向に進展が無さそうだったので、途中で諦めてまたオスのエリアへ戻りましたが、
後日やっぱり気になったので、改めてメスのいた所を見に行ってみた所、もう姿を見る事はできませんでした。
やっぱり今思うとあの瞬間は「瀕死の状態」だったと思うんです。
オスは最後の最後までメスを守ろうとしていたのかな?と思ったり、
あんなに遠くにいるメスに寸分の狂いもなく最短距離で会いに行くなんてすごいなぁと思ったり、
まわりになーんも無い所で1匹じーっとしてるメスの姿を見てちょっぴり切なくなったり、
なんだか不思議な瞬間を見る事ができた1日でした。
コブシメの産卵をここまでじっくり観察したのは今年が初めてで、実際に見る事で新しく分かった事もいくつかありました。
写真もそれなりには撮れましたが、まだ「オス同士の喧嘩」や「オス・メスの交接」は見れてません。
これからもコブシメの行動は追っていきたいと思いますので、良い写真が撮れたらまたご紹介したいと思います!!
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